垂れ壁(下がり壁)とは?メリットデメリットをご紹介
「垂れ壁」という言葉を聞いたことはありますか?
普段生活をしていてあまり耳にすることはないかと思いますが、実は身近な場所に多く見られる建築の要素です。
SNSや雑誌でお家を見ていると、アーチ状やお家型にくりぬかれたような形の壁を見かけることがあるかと思います。それが「垂れ壁」です。
今回は、垂れ壁について詳しくご紹介します。
垂れ壁とは
垂れ壁とは、天井から下方向に突き出た壁のことを指します。下がり壁とも呼ばれ、一般的には天井から40~50cmほど壁が下がっています。
おしゃれな洋風のお家に使われている印象のある垂れ壁ですが、実は日本の伝統的な家屋に古くから用いられてきました。日本の木造住宅の構造上、壁の無い大空間をつくることが難しいため、少しでも圧迫感をなくすために垂れ壁が活用されてきたのです。
垂れ壁のメリット
デザイン性の良さから取り入られることの多い垂れ壁ですが、見た目以外にもメリットがあります。
間仕切り
空間をさりげなく仕切ることができます。建具を使用しないため、空間同士がゆるやかにつながり奥行感や広がりを感じられます。建具の開け閉めをすることなく、空間同士を行き来できる点もメリットです。
防煙
煙は上部に溜まったあと、急速に広がっていく性質があります。そのため垂れ壁を設けることで火事の際に煙が広がるのを防ぐことができます。法律では50cm以上突き出た垂れ壁を「防煙壁」と呼び、火を扱うキッチン周りなどに設けることが義務付けられています。
※2009年に建築基準法が緩和され、戸建住宅はコンロ周りを不燃材で囲うことで防煙壁を設置する必要が無くなりました。
垂れ壁のデメリット
一方で、垂れ壁にはデメリットもあります。
圧迫感を感じる
照明の光や、日光が垂れ壁に当たり影を生むことで、薄暗さや圧迫感を感じる可能性があります。特に背の高い方は、垂れ壁が視界に入りやすくなるのでお部屋が狭くなったように感じるかもしれせん。天井から下げる長さを短めにすることで、少し圧迫感が抑えられます。
大きな家電・家具が入らない
壁が下がっていることで、冷蔵庫などといった高さのある家電や家具が部屋に入らない可能性があります。どこに家具家電を置くかを計画した上で、垂れ壁の場所を決めると良いでしょう。
おすすめの場所
垂れ壁はさまざまな場所に活用できますが、特に玄関収納やパントリー、WICなど出入りの多い収納スペースに適しています。
これらの場所で垂れ壁を活用することで、荷物を持った状態でもスムーズに出入りをすることができます。
最近多く見られるリビング横の和室スペースにも、垂れ壁を用いることで程よく空間が分かれて落ち着いて過ごすことができます。
仕切る役割以外にも装飾として使われる場合も。
間接照明を仕込んだり、床の間に使用したりすることで空間にアクセントを加えることができます。
デザイン
どのようなテイストにも合わせやすい直線や、ナチュラルな雰囲気にぴったりのアーチなど、さまざまなデザインがあります。形によって印象が大きく変わるので、お家の雰囲気に合うものを検討してみてください。
まとめ
お家のデザイン性を向上させるだけでなく、さりげなく空間を仕切ることができる便利な垂れ壁。建具を入れるほどではないけれど、少し空間を分けたいという場所があれば取り入れてみてはいかがでしょうか?
また、アーチの形の垂れ壁はクロスで仕上げるのが難しいデザインとなっており、クロスの浮きや剥がれが生じる場合があります。アーチを取り入れる際には漆喰の壁がおすすめです。
漆喰について詳しく知りたい方にはこちらもおすすめです。