パッシブデザインについて新人がまとめてみた
こんにちは!企画室の髙野です。
「パッシブデザイン」という言葉、最近よく耳にしませんか?
初めて聞く方は何だか検討もつかないですよね。
今回はそんな「パッシブデザイン」についてお話しします。
パッシブデザインとは
パッシブデザインとは何でしょう。
パッシブデザインとは、
『機械に極力頼らず、建物の構造や材料を工夫することで快適な室内環境を作り出す』
という家づくりの考え方のことです。
パッシブデザインの対義語はアクティブデザインで、エアコンなどの機械を使って快適な室内環境を作り出す考え方のことです。
では機械に極力頼らずに快適な室内空間を作り出すとはどういうことなのでしょうか。
□パッシブデザインの仕組み
今回は簡単に図で表してみました。
このようにパッシブデザインは主に「断熱」「日射調整」「通風」「樹木や植栽」のこの4つの設計で快適な室内空間を作り出します。
ではこれらを一つずづ説明していきます。
断熱
まず初めに断熱についてです。
身近なもので考えてみましょう。
熱い鍋を持つ時、鍋つかみを使うと持つことができますよね。それは鍋つかみが断熱材の役割をしているからです。
このように断熱材には一方の熱を他方に伝わりにくくする役割があります。
例えば断熱性能が高いと、冬に寝る前まで暖房をつけていて、寝ている間は消しておいたが、朝起きても暖かさ残ってた!となります。
一方で、断熱性能が低いと
・頭の高さの空気は温かいのに足元が冷える
・結露ができる
・場所によって温度が違う
なんてことになります。
特に場所によって温度が違うとヒートショックになる危険性があります。
年間でヒートショックで亡くなる方は交通事故で亡くなる方の数倍と言われています。
恐ろしいですね…そのためにも断熱性能は高めておきたいものです。
□断熱性能はどうやって高めるの?
では実際に断熱性能はどのように高めたら良いのでしょうか?
断熱というと壁のイメージが強い方が多いかと思いますが、壁だけではありません。
「屋根・基礎・窓」でも断熱性能を高めることができます。
どれか一つだけ断熱性能が優れていても断熱性は多少は高まりますが、全体の断熱性能を高めることが有効だと考えます。
日射調整
次は日射調整についてお話しします。
日射調整は、太陽の光を遮ったり、逆に取り込むことをいいます。
とは言ってもどのように調整するのでしょうか。
□日射調整はどのようにするの?
日射調整は軒や庇の長さで調整します。
これだけだとイマイチわからないですよね。
四季がある日本では夏の太陽は高い位置を通り、冬の太陽は低い位置を通ります。
この太陽の動きを生かして日射調整します。
軒や庇を長く出すことで、夏の高い太陽光を遮る一方、冬の低い太陽光を室内へと取り込みます。
そうすることで、夏は太陽光による室内の温度上昇を抑え、冬は太陽光により室内が暖かくなります。
室内に太陽光が入ることで照明を付けなくても明るくなるのもパッシブデザインの考え方です。
夏はすだれやサンシェードで太陽光を遮っている家が多いですが、外の景色が見えにくくなってしまいます。
軒や庇の長さを工夫することで外の景色を楽しみながらも太陽光を遮れるのが良いですね!
通風
3つ目は通風、つまり風通しです。
風通し良くすることは、夏の湿気と温度を抑えるのに有効です。
では風通しの良い家とはどんな家でしょうか。
□風通しを良くするには
風通しを良くするには、設計する際に間取りや窓の位置に配慮する必要があります。
ポイントは
・風の入口と出口の窓の大きさのバランス
・風の入口と出口がストレートになるような位置関係
・吹き抜けなどで上下に流れる風の道
です。
風の入口が広いのに出口が狭いとうまく風は通り抜けていけません。また入口と出口がストレートになるような位置関係にあるとより風通りが良くなります。吹き抜けを生かして上下の風の道を作るのは風通しを良くするには有効です。また高い位置に窓を作ることで、夏は室内の温まった空気が上から抜けていきます。
また外から入ってくる風だけではなく、窓を閉めていても風通しが良くなる工夫も大切です。
□室内の空気循環を高める
風がない時に窓を開けていてもそれほど空気は入ってきませんよね。
それに寒い冬に窓なんて開けたくないですよね。
そんな時はどうしたら良いのでしょうか。
答えは「室内の空気循環を良くする」です。
ポイントは
・家全体を一つの大きな空間ととらえる
・建具を引き戸にする
です。
家全体を一つの空間ととらえ、穏やかに空気の循環が行われるようにし、建具を引き戸にすることでより空気が循環しやすくなります。
窓を開けても閉めても空気の通りが良くなるように工夫していきたいですね。
樹木や植栽
パッシブデザインは建物の設計だけでなく、樹木や植栽で実現させることができます。
樹木があることで夏は木陰ができ地面を冷やす効果があります。東西に植えれば夏の朝日や夕日を遮ることができます。
このように樹木を生かしてパッシブデザインを実現することも可能です。また樹木は見ている人に癒しやリラックス効果もあります。
ぜひ樹木を生かして快適な室内空間を作り出してはいかがでしょうか。
快適な室内空間にするために
これまでパッシブデザインにおける主な4つの要素をお話ししました。
「断熱」「日射調整」「通風」「樹木や植栽」これらを工夫するだけで、室内環境をより良くすることができます。
地球温暖化が進む今だからこそ、極力機械に頼らず生活していけるのは理想ですね。
そして四季がある日本。
だからこそ四季に対応しながら、四季を楽しめる住空間を作れるといいですね。
まとめ
今回は「パッシブデザイン」についてお話しました。
皆さんいかがだったでしょうか。
少しでもパッシブデザインについて理解を深めてもらえたら嬉しいです。
そして紹介した4つの要素をどれか一つでも取り入れてみようと思っていただけたなら、なお嬉しいです。
以上、「パッシブデザインについて新人がまとめてみた」でした。